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838 名前: ◆qPOxbu9P76[sage] 投稿日:2010/12/17(金) 21 36 03.21 ID .ShKSPso [2/11] 「あんたさ、また私の彼氏になってよ」 以前ならドキリとさせられたこのセリフも、2回目ともなると桐乃の真意にはある程度予想がつく。 「……今度はどんな理由だよ」 「前と一緒。美咲さんがあたしのこと諦められないって」 ふふん、と鼻をならし上機嫌な様子の桐乃。 厄介事が飛び込んできたというのになんで上機嫌なんだ? そりゃ自分の才能や人気を再確認できるような出来事だけどさ。 「それなんだけどさ、俺とおまえが恋人じゃないってこと、美咲さんには最初からばれてたらしいぞ?」 「えっ?だ、誰からそんなこと聞いたの?」 「御鏡から」 そう、あの時あいつは確かにこう言った。 「お二人が兄妹だってことは、美咲さん、とっくに気づいてたみたいなんですよ」 御鏡が言っていたことが本当なら、もはやこの偽装デートに意味はない。 ようやく彼氏役なんて馬鹿な真似をさせられることもなくなると安心したところだったのだ。 「だから偽装デートの意味はなくなっちまったんだよ」 無意識にではあるが、少し残念な感じのニュアンスになってしまったことが悲しい。 おかしいな。確かにシスコンであるのは認めるが、あんなデートはこりごりだと思ってたってのに。 839 名前: ◆qPOxbu9P76[sage] 投稿日:2010/12/17(金) 21 36 52.14 ID .ShKSPso [3/11] 「そ、それも油断させるための嘘かもしんないじゃん!」 「俺には御鏡は嘘をつくような奴には見えなかったけどなぁ」 「な、なんでもいいでしょ!で、やるの?やらないの!?」 正直かなり怪しいが、ここでこれ以上桐乃の神経を逆なでしても俺にメリットなど存在しない。 それにしても、頼み事をしているのは向こうのはずなのに、相変わらずの上から目線である。 チッ、こいつには礼儀というものを教えてやらねばなるまい。 俺は桐乃に向き直ると、こう言い放ってやった。 「やるよ!やらせていただきます!」 別にへたれたわけでも、桐乃とのデートが楽しみなわけじゃないよ? ちょっと御鏡の一件での出来事を思い出しただけなんだから、勘違いしないでよね。 そう、俺はあの時、あろうことか 「桐乃と付き合いたいってんなら、てめえ!この俺に認めさせてみろ!」 「おまえより俺の方が桐乃を大切にする!ぜってーだ!だからおまえに桐乃はやらん!」 なんてことを大声で叫んでしまったのだ。 あぁ…今思い出しても恥ずかしい。 なんであんなことしちゃったんだろ俺。 忌まわしい記憶をさっさと頭から排除すべく、新たな話題を求めて桐乃に声をかける。 「…ひょっとして美咲さんまた監視にくんの?」 「当たり前じゃん。じゃなきゃこんなこと頼まないっての」 それもそうか。 でも、そのわりに前回はそれらしき人なんて全然見なかったぞ? ほんとに監視してんのか?仮にも社長だろうに。 「み、見つけられなかったのはあんたが鈍いからでしょ!?」 「いきなり怒鳴るなよ!?」 一体今のどこにキレる要素があったんだ…… あたしに意見すんなってこと? 840 名前: ◆qPOxbu9P76[sage] 投稿日:2010/12/17(金) 21 37 44.88 ID .ShKSPso [4/11] 「わ、わかったわかった。だからちょっと落ち着けって」 「ふ、ふん…わかったならいいケド」 そう言ってホッと一息をつく桐乃。 気のせいか少し顔が赤くなっている。 ホッとしたいのはこっちだ。 「デ、デートは今度の日曜日だから。前みたいなことにならないように気をつけてよね」 桐乃はそう言い残しリビングを出ていった。 恥ずかしがるくらいならデートなんて単語使うなよ… くっ…なんだかこっちまで意識しちまうだろうが。 前回みたいにならないようにとは、以前の偽装デートで挙げられた不満点を反省しとけってことだろう。 「チッ……何て言ってたかな、あいつ」 もはや、妹の頼みだから渋々…… という体面は御鏡の一件で既に崩れ去っているが、中々そう簡単に割り切れるものじゃあない。 それでも俺は、妹の頼みごとの下調べを行うべく渋々自室のPCを立ち上げに行くのだった。 「お、おまたせっ」 前回同様早く着きすぎた俺が時計を見ながらぼやいていると、これまた前回と全く同じセリフで桐乃が声をかけてきた。 「別に待ってねえよ。―――行くか」 「うん」 嬉しそうに頷いて、自然に腕をからめてくるところまでいっしょだ。 グーグル先生によると、デートプランってのはマニュアル通りのものよりも相手が、もっと言えばお互いが喜びそうなデートプランを考えた方がいいそうだ。 だから俺は、桐乃の質問にもさらっと答えることができた。 「今日は……どこ行こっか」 「そうだな、今日はまずは秋葉でも行くか」 「は?」 桐乃も、まさか俺がまともなデートプランを提示してくるとは思っていなかったようで、驚き固まっている。 ふっ、俺が本気を出せばこんなもんさ。 841 名前: ◆qPOxbu9P76[sage] 投稿日:2010/12/17(金) 21 39 13.30 ID .ShKSPso [5/11] 「いってえ!」 唐突に悲鳴をあげる俺。 なんのことはない、いつも通り足を踏まれただけさ。 …ちくしょう、一体何が不満だったんだ。 「あんた、本気で言ってんの?馬鹿じゃないの!?」 「本気で悪かったな………だっておまえは秋葉が一番喜びそうだと思ったからさ……」 俺はこいつが『表』の友達と普段どんなことをしてすごしているのかわからない。 まぁ、それでなくてももっとお洒落なところに連れて行けという気持ちはわかる。 美咲さんに監視もされてるわけだからな。 だけど、こいつが一番喜びそうな場所は秋葉じゃないかなって思ったんだ。 俺が桐乃の彼氏だってのは嘘だけど、二人で出かけるのは嘘じゃない。 だから、俺達が二人で楽しめるような場所にしたかったんだよ。 「……わかった。そこでいい」 俺の心中を察したのか、単に諦めたのか桐乃は意外と簡単に了承し、ぷいっと向こうを向いてしまう。 兄妹間でのアイコンタクトが伝わらないことは経験済みなので、恐らく後者だろうけどな。 しかしそれでも桐乃は俺の腕を離すことはなく、むしろ絡められた手にはより力が込められているようだった。 「くぅ…これ………やっぱり買っちゃおうかな………」 読モ兼作家様も海外留学の費用を自力で捻出したということもあってか、さすがに台所事情は少々厳しいようだった。 いつもは悩むまでもなく即決で買ってしまうわけだが、今日に限っては30分ほどフィギュアとのにらめっこを続けていた。 「いつまで悩んでんだ?」 「……う~ん……でも……しかし」 聞いちゃいねえ。 842 名前: ◆qPOxbu9P76[sage] 投稿日:2010/12/17(金) 21 40 01.27 ID .ShKSPso [6/11] 「お~い、そんなに悩んで何を買う気なんだ?」 しびれを切らした俺は桐乃の頭にぽんっと、手を置きつつそう尋ねた。 「えっ?…あ…ちょ、ちょっと何勝手に触ってんの!?」 「なんだ?彼氏が勝手に触っちゃまずいのかよ?」 「え!?………くっ………………」 いつもならこの辺で罵倒が飛んでくるのが通例だが、今日は美咲さんに監視されていることもあって、さすがの桐乃も俯きがちにくやしがることしかできない。 ははは、監視されてるってのは嫌なもんだと思ったが中々いいこともあるじゃないか。 「で?何を見てたんだ?」 「………これ」 桐乃が指差した先には、『メルル(ダークウィッチVer.)』が置かれていた。 いつものメルルと違って赤を基調とした衣装から黒い衣装へと変更されている。 髪の色まで変わってしまっているのでパッと見ではメルルだと気付かない。 「確かメルルの3期で新しく出てきたんだっけ?」 「そうなの!3期ではメルルがダークウィッチ化しちゃって…」 「お、おまえのメルルへの愛情はわかった!わかったからそんなにはしゃぐなって」 桐乃は相変わらずアニメのこととなるとテンションが異常に高くなる。 こんだけ夢中になれるもんがあるってのは幸せだよな。 ……ふ~ん、『メルル(ダークウィッチVer.)』ね。覚えておくか。 あくまで覚えておくだけで深い意味があるわけじゃないけどね。 「あんまりはしゃぐと、監視してる美咲さんにオタだってばれるぞ?」 「………うん」 実は、今回は俺にも美咲さんの姿が確認できていた。 やっぱりこれって御鏡が嘘をついてたってことなのか? 俺の人を見る目もあてになんねえな。 843 名前: ◆qPOxbu9P76[sage] 投稿日:2010/12/17(金) 21 40 42.71 ID .ShKSPso [7/11] 当の美咲さんはと言うと、帽子を目深にかぶり、サングラスをかけているという尾行するにしてはありきたりすぎる恰好なのだが、そこはさすが元モデルの凄腕デザイナー。 服装が一々お洒落だ。 しかし、新宿や池袋のような所なら目立たない恰好なのだろうが、ここは秋葉原。 そんな恰好では目立つことこのうえない。 美咲さんの姿が、『オタクっ娘あつまれー』のオフ会に初めて参加したときの桐乃の姿とだぶる。 あのとき桐乃は一人孤立しちゃってて…沙織の気遣いによって黒猫と知り合って…… ………やべ、なんか涙でてきた。 美咲さん、この雰囲気の中ずっと一人で大丈夫かな? 「…あんた何涙目になってんの?」 「なんでもねえよ」 これ以上美咲さんをこの雰囲気の中ずっと尾行させるのも気が引ける。 美少女フィギュア売り場にたたずむ成人女性……通報こそされないものの、奇異の目で見られていることは間違いない。 あれ?俺達も危なくない? ……ま、まぁ俺達はまだ男の俺がいるからまだいいとしよう。 もっとも、俺達の場合、俺が彼女を変態の道に引き込もうとしている悪役に見えるんだろうけどな。 「まくか」 「えっ?」 桐乃の手を取り一目散に階段に向かって駆け出す。 美咲さんもこれは予想外のできごとだったようで、尾行する側であるにもかかわらず思わず身を乗り出し、追いかけてこようとしていた。 していたのだが……なれない場所のためか、そのヒールの高い靴のせいか一歩目を踏み出した際にバランスを崩し派手に転倒してしまった。 「あっ」 やりすぎたか?とも思ったが、そもそも尾行する方が悪い。 …が、一応は無事を確認しとかないとな。怪我でもされてたらなんだか申し訳ないし 無事だけ確認したらすぐさま逃げ出すつもりだったのだが、結局俺は走り去ることはできなかった。 それは美咲さんが怪我をしていたから…というわけではなく、そこにあったのが見知った顔だったからだ。 844 名前: ◆qPOxbu9P76[sage] 投稿日:2010/12/17(金) 21 42 32.68 ID .ShKSPso [8/11] 「ふぇ…フェイトさん?」 「え、えへ。ばれちゃった。ごめんね」 そう言って舌をぺろっと出したとぼけた表情をするフェイトさん。 え?なんでこの人が美咲さんのかっこしてんの? 「え…桐乃?これは一体……」 「う……こ、これは」 桐乃が言いよどんでいるとフェイトさんが口をはさむ。 「桐乃ちゃん?もういっそ白状したら?」 二人でなにやら企んでいたことを匂わせるフェイトさん。 「…桐乃、一体どういうことだ?」 「…………」 ここへきてだんまりである。 別に怒っているつもりはないんだけどなぁ…… 「桐乃?別に怒っちゃいないから正直に言ってくれよ。じゃないと俺もどういう対応したらいいのかわからねえよ」 桐乃とフェイトさんが何を企んでいたのかはわからない。 だが、そのおかげでフェイトさんは派手に転んで危うく怪我するところだった。 それに関しては俺にも責任があるとはいえ、こんなことをした理由は聞いとかないとな。 「………」 「まさか俺をからかいたかったわけじゃないんだろ?」 「……あ……とデ……ったの」 「あぁ?なんだって?」 しまった、桐乃があまりにぼそぼそ喋るもんだからちょっと怒ってるみたいな口調になっちまった。 べ、別に怒ってるわけじゃないんだ……だからそんな泣きそうな顔をしないでくれ。お願いだ。 「あ……兄貴と……デートがしたかったの」 そう告白すると、ついに桐乃の目から涙が溢れた。 あまりの衝撃的な展開に脳みそがついていかない。 デートしたかった?桐乃が?誰と?あ、俺か…えっ?俺? 845 名前: ◆qPOxbu9P76[sage] 投稿日:2010/12/17(金) 21 43 56.18 ID .ShKSPso [9/11] 頭が真っ白になって思考が停止している俺にフェイトさんが事情を説明してくれた。 「あのね、京介くん。桐乃ちゃんはあなたにかまってほしかったのよ」 「えっ?」 「あなた…最近他の女の子とばっかり遊びまわってるって聞いたわよ。それも女の子をとっかえひっかえで」 おい!なんて嘘をつくんだ!! どこのエロゲの主人公だ……そんなやつがいたら会ってみてえよ。 「いやそれは嘘ですし、そもそもそれとこれと何の関係が……」 「鈍いわねぇ。桐乃ちゃんは超がつくくらいのブラコンなのよ」 「フェ、フェイトさん!」 「あっ……」 桐乃にたしなめられ、ごめんねと舌を出すフェイトさん。 ……ちょっと歳考えた方がいいんじゃないかなと思います。 しかし、フェイトさんが言ったことが事実とするなら…… 「おまえ、スカウトの話は嘘だったのか?」 「あ、あれはほんとだって!美咲さんは最初にスカウトされたときに断ったらちゃんとわかってくれて……」 最初?ひょっとして桐乃が帰国した直後に受けた電話での話のことか? 「……ってことは…まさか前会った社長もフェイトさんなの!?」 「うん、実はそうなの。どう?さまになってた?」 うそ…だろ…? 桐乃が加奈子がメルルコスをしていることを見抜けなかったことに対して、俺なら知り合いの変装なぞ一発で見抜くと内心思っていただけにこれは悔しい。 しかも、フェイトさんが煽り方が超うっとうしい。 「ねえ?今どんな気持ち?私の変装を見抜けなくて今どんな気持ち?」 「くっ……フェイトさんは就職したんですか?」 苦し紛れにちくりと苦言を呈する俺。 「………」 いきなり無言になり鬱状態に突入するフェイトさん。 あ、あれ?俺何かまずいこと言ったかな? 「私、そろそろ帰るわね。後は将来が希望で満ちている若者同士でやってちょうだい……」 いかん、どうやら押してはいけないスイッチを押してましったようだ。 ……まさか自殺なんてしないよねあの人。 846 名前: ◆qPOxbu9P76[sage] 投稿日:2010/12/17(金) 21 44 27.71 ID .ShKSPso [10/11] ん?じゃあ御鏡が言ってた、美咲さんには兄妹だったことばれてたって言葉の意味は? あの時の電話の会話内容によれば、本物の美咲さんの方は普通に説得したら納得してくれたんだよな? なんでそこで彼氏とか兄妹とかの話題が出て来るの? 駄目だ…思考を巡らせても答えは出てきそうにない。 俺が眉間にしわをよせて考え込んでいるところに桐乃から声がかかる。 「ね、ねえ…」 今までのような高圧的な物言いとは違い、こちらの機嫌をうかがうような弱々しい声だった。 「うん?あぁ、すまん、どうした?」 「お、怒ってないの?」 そんなことを気にしてたのか。 俺が女の子とっかえひっかえで遊んでるという嘘を言っていたのは気にかかるが、怯えているような目の桐乃にこれ以上何を責められるだろうか。 はっはっは。もうこうなったらとことんやってやるぜ! 桐乃の真意がどうだったかなんてこの際意識の外に放り出してしまおう! 「怒ってねえよ。今日の俺は桐乃の彼氏だからな。彼女の嫉妬くらい受け入れてやるのは当たり前だろ?」 そう、今はまだ俺がこいつの彼氏役。 もっとも、この役目だけは当分誰にも譲る気はないけどな。 すると桐乃は照れくさそうに微笑んでこう告げた。 「あ、ありがと…きょ、京介。……京介のそういうところ大好き」 俺は大口開いて、目ぇ見開いて唖然とするしかなかったね。 だってよ、幾らなんでもありえねぇだろうが…… 自分の目をと感情を盛大に疑いながらこう思ったのさ。 俺の妹がこんなに愛しいわけがない――――ってな。 おわり ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― ※ここから追加分 875 名前: ◆qPOxbu9P76[sage] 投稿日:2010/12/18(土) 21 18 11.06 ID pbnclDUo 秋葉デートを終え、俺達が地元の駅まで帰ってきたところで事件は起きた。 「あ、あやせ……違うんだ。これには深いわけがあってな……」 「ふふふ、お兄さんったら。私言いましたよね?桐乃に手を出したらどうなるかって」 今、俺達の目の前にはあやせが立っており、その瞳からは光彩が消失している。 秋葉で桐乃から予期せぬ告白を受けた俺はすっかり舞い上がってしまい、地元に着いても手を繋いだままだった。 で、案の定そのラブラブっぷりをあやせに見られたというわけだ。 くそっ…なんていうお約束…… 「ご、誤解なんだ。俺は桐乃に手を出してないし、これからも出すつもりなんてないって」 無駄かもしれないが一応の説得を試みる。 下手をすれば、「海がいいですか?それとも山がいいですか?」という究極の二択を迫られる結果となってしまう。 「そうだよ、あやせ。今日だって普通にデートしてきただけだもん。ねっ?京介」 あうとおおおおおおおお!! おまえはなんてタイミングでデレてくるんだ!?「デート」もまずいが「京介」はもっとまずい!! 死を覚悟した俺はあやせの方を恐る恐る振り返り、そして…… ドンッ 「えっ?」 胸部に鈍い痛みを感じ、痛みを感じる場所に目をやるとそこからはおびただしい量の血が…… なんてことはなく、その場所にはあやせが顔をうずめるようにして抱き着いてきていた。 え?何これ?新手の死亡イベント? 「ちょ、ちょっとあやせ!?」 困惑する桐乃をよそに、俺の体に抱き着いたまま離れようとしないあやせ。 「あ、あんたも黙ってないでなんとかしなさいよ!」 「い、いや、そうは言うがな……」 876 名前: ◆qPOxbu9P76[sage] 投稿日:2010/12/18(土) 21 19 54.64 ID pbnclDUo さて、これは一体どうしたもんかな。 俺が対応に窮し、棒立ちになっていると、意外にもあやせの方が先に口を開いた。 「お兄さんの馬鹿…どうせ手を出すなら桐乃じゃなくて私に出してほしかったのに……」 えっ? 「お兄さんってば、ほんとに鈍いんですから…私の気持ちわからなかったんですか?」 えっ?桐乃に手をだすなってそういうこと!?桐乃じゃなくて私に手を出せってことなの!? わかるわけねえだろそんなの!! 目に涙を浮かべながら上目使いで俺のことを責めるあやせ。 瞳にも光彩が戻り、その表情はめまいがしてしまいそうなほどかわいいものだった。 …だったのだが、俺の視界にはその言葉を聞き阿修羅の表情となる桐乃が映る。 あ、あれ?なんだか想像してたのと違うけど死亡フラグが見える。 まさか、こういう作戦なの!?だ、誰か助けて…… 「あ、あなた達…こんなところで何をやっているの?」 声がした方を振り返って見ると、いつものゴスロリのかっこに身を包んだ黒猫が呆れるような目でこちらを見ているのを確認できた。 「い、いいところにきてくれた!ちょっと助けてくれ!」 「…まず事情を説明なさい、事情を」 「い、いやそれがな……」 …なんて説明すればいいんだ? 黒猫にこのありえない事態を説明しようとするが、中々うまく言葉にできない。 妹とデートしてたら妹の友達が嫉妬しちゃいました。 端的に言えばこうなのだが、そんなうぬぼれた台詞なんて言えるわけがねえ。 878 名前: ◆qPOxbu9P76[sage] 投稿日:2010/12/18(土) 21 21 17.59 ID pbnclDUo 「ちょっと!京介はどっちを選ぶの!?」 「そうです!この際、はっきりしてください!!」 俺が頭を悩ましている間にも事態はさらに進展していたらしい。 どこをどう進んだらそんな会話になるの? 「……もういいわ。事態は把握したから」 黒猫は黒猫で今のやりとりを聞いて納得したようだった。 こいつってほんと空気読むのうまいよな…。 「事態を把握したならちょっと助けてくれないか?」 「………」 無言でこちらに歩み寄る黒猫。黒猫の瞳が赤く、怪しく揺らめいて見える。 今黒猫が何を考えているかはわからないが、こいつはこいつで何か考えがあるようだ。 やれやれ、これで何とかなるかな? ドンッ 俺が一安心していると、今度は背中に鈍い痛みが走った。 俺が背中の方を肩越しに振り返るとそこには闇の力を解放した黒猫が……… なんてことはなく、そこには俺の背中に抱き着く黒猫の姿があった。 「あなたたちにこの人は渡さない」 黒猫、お前もか!! 黒猫が抱き着いてきたことによって、あやせと黒猫に挟まれた状態となる俺。 前後に感じる柔らかい感触が俺のリヴァイアサンを刺激する。 くっ……ここではまずい。鎮まれ…鎮まるのだ。 「ふぅ…お前ら、ここじゃ目立つし場所変えようぜ」 さながら賢者のごとく妙案を提案する俺。 そしてこの言葉で3人とも我に返ったようで、すぐさま俺から離れていく。 880 名前: ◆qPOxbu9P76[sage] 投稿日:2010/12/18(土) 21 23 25.88 ID pbnclDUo しかし、 「あんたらには絶対負けないから。なんせあたしはもうデートもしちゃったんだし」 「桐乃には悪いけど、私も負けないよ。お兄さんが私にプロポーズしたの知ってる?」 「ふっ…あなたたち、私が先輩と付き合っていること知った上でそんな台詞を吐いているの?」 く、黒猫!それは今言っちゃだめえええええええ!! こんなところで新たな火種を投下しないで!! 「はっ、当然でしょ!」 えっ?知ってるの? ……まだ桐乃には話してないはずなんだけど? 「残酷なこと言うようですけど、それってお兄さんに遊ばれてるだけですよ?」 あやせ?それって俺に対する悪口になってるのわかってるかな? 俺、ほんとに好かれてるんだよね? 「あれ?きょうちゃん、なにしてるの?」 「麻奈実!いいところに来た!こいつらの喧嘩を止めるの手伝ってくれ!」 こ、今度こそなんとかなる! 慈愛の精神の塊とも言える麻奈実ならばこの場を上手く納める方法も知っていよう。 頼るべきは、おばあちゃんの知恵袋だ。 「あ、桐乃ちゃんに、あやせちゃんに、五更さん。みんな揃ってるんだ~」 こんなときでもいつもの調子を崩さない麻奈実。 相変わらず空気の読めないやつだ。 だが、こいつのこういうぬるま湯みたいなところが、場を和ますのにはちょうどいいんだよなぁ。 881 名前: ◆qPOxbu9P76[sage] 投稿日:2010/12/18(土) 21 26 49.85 ID pbnclDUo 「ふぅ…これでなんとか……さぁ、お前らいいかげんに……」 「いつも、わ・た・し・の!きょうちゃんがお世話になってまぁす」 えっ?今何て言った? 言葉に意味を問いただすべく振り返って麻奈実を見てみると、いつもののんびりとした雰囲気とは異なり、 大魔王もかくやというような禍々しいオーラを放っていた。 くっ、出たなベルフェゴール。 「お、お前!なんてオーラ出してやがる!?」 見ろ!三人ともすっかり怯えちまってるじゃないか!! 「くっ、ここは一時休戦よ」 「仕方ないですね。まさかお姉さんが一番の強敵だったとは」 「さすがベルフェゴール…私の邪眼をもってしても勝てるかどうか…」 なにやらヒソヒソと相談している様子の3人。 お前らがいつまでも喧嘩してるからいけないんだぞ? しかし…まさか麻奈実にあんな一面があったとは…… もうこいつのことを変にからかったりするのはやめよう。あやせ以上におっかねぇ… 「さっ、きょうちゃん。一緒にかえろ?」 「えっ?お、おい!?」 麻奈実に右腕をとられ、半ば強引にこの場から連れ去られる。 882 名前: ◆qPOxbu9P76[sage] 投稿日:2010/12/18(土) 21 28 22.12 ID pbnclDUo 「あ!待ちなさい!まだ話は終わってないわ!」 黒猫はそう叫ぶと麻奈実とは反対の腕に抱き着いてくる。 「そうですよ!ちゃんと誰を選ぶのかはっきりしてください!」 今度はあやせが俺の背中に抱き着き、俺の歩みを止めさせる。 「あんたら!あたしの京介にさわるなああああああああ!!」 桐乃は悪の帝王にとどめを刺す主人公のごとく叫ぶと、俺の前に回り込み正面から抱き着いてくる。 あ、そこにいらっしゃるのはお隣の奥さんじゃないですか。 ははは、今日はいい天気ですね。 くっそおおおおおおおおおおおおお! 「きょうちゃん?選ぶのはもちろん私だよね?」 「お兄さんのスイートエンジェルこと私ですよね?」 「彼女をさしおいて他の雌をえらぶわけないでしょう?」 「あんたらは京介のシスコンっぷりを知らないからそんなことがいえんのよ!」 へっ、こうなったら…こうなったらとことんやってやるよ。 どうせこのあと4股高校生として噂されるのは間違いないんだ。 えーっと…うろ覚えだが、確かちょっと前に見たアニメではこう言ってたんだっけ? 「よーし、いっそ全員で遊びに行くか!!なんせ……お前たちは俺の翼だからな!!」 おわり
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http //yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1296227693/55-60 『今すぐ来て。困ったことになっちゃった! 場所は―――』 こんな切羽詰まった様子の電話が桐乃からかかってきた。 どうしたんだ一体? とにかく、電話で言われた場所に俺は急いだ。 アイツがこの俺に電話を、それもあんな様子でかけてくるなんてタダ事じゃない。 言われた場所に着いた俺は桐乃を探した。 どこだ? 桐乃のあの様子、きっと何かあったに違いない。 ―――いたッ!! 桐乃―――と言おうとした瞬間、 「お兄ちゃん、来てくれてありがとう!」 お、お兄ちゃん? 誰だオマエ? ニセ者だろ! 本物の桐乃を返せ!! 怪訝な顔をしていると桐乃は俺の右腕に腕を絡ませて引っ張っていく。 「すみません。来てくれました!」 そう言って桐乃は大人達に頭を下げて回った。 なんだこの人たちは? 撮影機材があるから、カメラマンと‥‥‥メイクのスタッフか? ということは此処は撮影現場ってことか。桐乃の仕事場だな。 で‥‥‥、なんだって俺が呼び出されたんだ? 「キミが桐乃ちゃんのお兄さんか。噂は聞いているよ。 背は低くもなく、かといって高すぎるわけでもなく、スリムだし悪くないね」 はぁ―――。 スタッフの人が言った言葉に力無く頷く俺がいた。 「撮影に来てくれるはずのモデルさんが来られなくなっちゃったのよね。 偶然ロケが地元だったから、アンタに代わりをやってもらおうってワケ。 せっかくスタッフさんも集まっているのに時間が勿体ないじゃん?」 なんだそれ。それで俺を呼び出したのかよ。しかもあんな電話で。 文句を言おうと桐乃の顔を睨むと、 「ごめんなさい。あんな不安な感じの電話で‥‥‥ こうでもしなきゃすぐには来てくれないと思ったから」 桐乃は俯きながら謝った。 チクショウ、こんな素直に謝られたら、コイツの頼みを聞くしか無いだろ! 「それで? 俺は何をすればいいんだ?」 「飲み込み悪いわね。つまり来られなくなったモデルさんの代わりに アンタがアタシと一緒に撮影してもらうってことなのよ」 げっ! 俺、モデルデビューっすか? 経験なんてねえし、どうすりゃいいんだよ? 「アタシがリードするから平気。アンタはただ突っ立っていればいいの!」 「でも顔が雑誌に出るんだろ?」 「アンタのしょぼくれた顔なんて雑誌に載せられないじゃん? あくまでも顔出しNGってことでアンタを撮ってもらうことになっているから」 いや、自分を美形なんて思ってはないけど、しょぼくれた顔って‥‥‥ 「それと言っておくケド、アタシ現場じゃ妹キャラとして通っているから。 そういうキャラとして今日はアンタと一緒に撮影するかんね。 こんな超かわゆいアタシが妹だってことに感謝しなさいよね」 あの、スタッフさんが居る前との落差が激しいんですけど。 本当にコイツ、猫を被ってやがんのな。 「あ、それと‥‥‥今日の撮影は、恋人同士って設定だかんね」 ‥‥‥‥マジすか? 俺は、来られなくなったという恋人役のモデルが着るはずだった衣装を纏った。 スタイリストさんによると、偶然にも体型がピッタリだという。 実際着心地も悪くない。 「へー、まさに馬子にも衣装じゃん」 ワゴン車のドアを開けて乗り込んできた桐乃の第一声を拝聴する俺。 「なんか緊張してきたな」 「ニワカなんだから、緊張する必要ないじゃん」 「でもプロの仕事の現場なんだろ。素人とはいえ全力出すのが礼儀ってもんだろ」 「ふーん。意外とわかってんじゃん。じゃあ早口言葉でもする?」 「なんで?」 「緊張を解すには、早口言葉が効くのよ。あやせだってやってるし」 本当かよ? まあ、藁にも縋りたい今は、コイツの言葉を疑っている暇はない。 「そんじゃいくね」 「おう」 「ばすがすばくはつ ぶすばすがいど」 「なんだよそれ?」 「いいから、さっさと言う」 なんつー早口言葉だよ。 「ぼうずがだいぶじょうぶなびょうぶにじょうずにぼうずのえをかいた」 「これは普通だな」 「いちいち口を挟まない!」 クソ、意外と言いにくいな。これで緊張解けるのか? 「となりのたけやぶにたけたてかけたのは たけたつかわいかったから たけたてかけたのさ」 「‥‥‥なんかおかしくね?」 「ドコがよッ!! 答次第によっちゃブッ殺すよ!!!」 ひいっ!! ちょいと疑問を挟んだだけなのにコイツ、ブチ切れやがった。 今のどこに地雷があったんだよ? そんなこんなもあって緊張も解けてきたようだ。早口言葉が効いたかな。 「いいねー。今日の桐乃ちゃん、いつも以上に可愛いね!」 カメラマンが桐乃を褒めちぎりながらシャッターボタンを押している。 俺の目から見ても、今日の桐乃は確かに可愛い、というかとても嬉しそうだ。 桐乃は変幻自在な表情で、俺の腕にしがみついたり、俺の肩越しにカメラのレンズを 覗き込むような仕草をしている。 コイツのプロフェッショナルな姿、悪くねえな。 「凄いお兄さん効果だね! これからもお兄さんと一緒に撮る?」 いやコイツ、猫を被っているだけっすから。あくまでも仕事重視なヤツなもんで。 「ちょっとお兄さん、顔が緊張しているかな?」 そりゃコイツとこんな格好で、しかも恋人同士役なんてマジ緊張するし。 「もうお兄ちゃん、もう少しリラックスしてよね♪」 うへえぇー、キモチわり―――。 ヤバい、感情が顔に出そうだ。 顔出し無しって約束だけど、ここは桐乃のためにも耐えなければ。 「今日はありがとうございました。お疲れさまです」 スタッフの挨拶で撮影は終わり、俺は解放された。 「ふふん。まあまあじゃん? 今日はあくまでも緊急事態だったんだから、これは最初で最後だかんね」 へーへー。お疲れさまでした。 まあ俺も、コイツのプロ姿を間近で見ることができたし、 珍しい体験もできたから、今日の一日は決して悪くねえと思ったよ。 「お届けものです」 宅配便を受け取った俺は荷物パッケージのラベルを読んだ。 メディアスキー・ワークスから親父宛‥‥‥? 「お袋、さっき親父宛に何か来ていたよ」 「ああ、メディアスキー・ワークスの本ね」 「それって桐乃の小説を出版した会社だろ? 親父、小説でも買ったの?」 「小説じゃなくて、桐乃がモデルで載っているファッション雑誌よ。 お父さん、通販で桐乃が載った雑誌を毎号買っているのよ」 へー。親バカとおもっていたが、やはりね。 ‥‥‥それにしても、何か気になるな。何だろう? 「京介、話がある」 大地を揺るがすような声に振り向くと親父殿が居た。 「これは一体どういうことだ?」 親父がファッション雑誌の1ページを開いて俺に突き付けた。 「ファッション雑誌‥‥‥だよな?」 「そんなことではない。内容を見ろ」 うっ! 俺がモデルの代役をしたときの写真か‥‥‥! でも約束通り俺の顔は写ってないし、親父は何を問題にしているんだ? 「ここを見ろ!」 親父が指差した先を見ると‥‥‥ 「なになに、『プロフィール』!? 『高坂桐乃 1997年生まれ。千葉県出身。中学三年生。陸上部所属』」 これが一体どうしたというのだ? と親父の顔を覗いた。 「最後まで読め!」 えーっと‥‥‥ 「『今日は大好きなお兄ちゃんと一緒に写真を撮ってもらいました♪(笑)』」 ってオイ!! せっかく顔出し無しだというのに、台無しじゃねえか! 桐乃のヤツ!! 「桐乃と一緒に写っているこの男はお前なのか?」 「いや、それは事情があって‥‥‥」 「どんな事情だ?」 「実は―――」 「なるほど。しかしお前は未成年だ。そんなことをするなら親に連絡すべきだ」 超正論を言う親父に反論できるはずもない。一発二発殴られることを覚悟した。 「だが、今度だけは大目に見よう」 本当かよ? と怪訝混じりな俺の表情を察したのか親父はこう言った。 「これだけ嬉しそうな娘の顔を見せられて、怒るわけにはいくまい」 『モデル・京介』 【了】
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http //yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1296227693/542-548 「‥‥‥アタシ、いまからちょっと行くトコあるから」 そう言って桐乃は出かけていった。 なんだよ、俺がはるばる日本から来たというのに、自分一人でお出かけかよ。 相変わらず勝手なヤツだ。 もっとも、勝手に桐乃のもとに押し掛けてきた俺が言えた義理ではないが。 気が抜けたせいか眠くなってきた。何しろ強行軍だったからな。 一眠りするか‥‥‥ ‥‥‥‥‥‥ 「ちょっと、ナニ、人のベットで爆睡してるワケ?」 我が妹様の侮蔑色満載の言葉で俺は起こされた。 もう夜じゃないか。こんなに寝てしまうなんて時差ボケを甘く見てたぜ。 「用は済んだのか?」 「もう、カンペキ。ふふっ」 戻って来た桐乃は不敵な笑いをしながら、どことなくすっきりした顔。 なんというか、自分自身の思いを成し遂げてきたように見えた。 「『やられたらやり返す』ってのがアタシのモットーだからね!」 何という不穏な台詞。 まさか、気に入らない相手をフルボッコにしてきたんじゃあるまいな。 「アタシ、シャワー浴びるから」 「そうか」 「言っておくケド、バスルームにカギかかんないから。入ってきたらブッ殺す!」 入るワケねえっての。 それに何でわざわざカギがかからないって俺に言う必要があるんだよ? 桐乃がシャワーを浴びる音を俺はベッドに寝転んで聞いていた。 あ、いや、別に耳を傾けていたわけじゃないぞ。ここ重要だからな。 それにしても、なんかイブの夜のラブホみたいな状況だな。 あの時は麻奈実から電話がかかってきて‥‥‥ ピリピリピリピリピリピリ――― ―――ッ!! また麻奈実か!? なんだ‥‥‥お袋か。おどかしやがって。ピッ 「お袋? 俺だよ、京介」 『京介!? 今どこ? ちゃんと桐乃には会えたの?』 「ああ、ちゃんと会えたよ。桐乃はどうやらリタイヤするらしい」 『どういうこと?』 「留学をやめて、日本に帰るってさ」 『本当に!? 一度言い出したら聞かない桐乃が‥‥‥信じられない』 俺も信じられないよ。あの桐乃が俺の言葉を受け入れるなんてさ。 俺もアメリカまで来た甲斐があるってもんだ。 『桐乃は? ちょっと代わってくれない?』 「今、シャワー浴びてんだよ。後でかけさせる」 『京介‥‥‥ヘンなことしちゃダメよ』 だからするわけねえっての。何でウチの女性陣は変な釘刺しをするんだよ。 ―――ッ! 『どうしたの、京介?』 「いや、何でも無い」 『ダメよ。桐乃のベッドに潜り込むようなコトしちゃ』 「‥‥‥」 『ちょっと、黙らないでよ! 図星みたいじゃないの』 「そんなことするわけないだろ! あ、親父が居たら代わってくれねえ?」 『ちょっと待って。お父さん―――、京介から電話!』 「‥‥‥‥‥‥‥‥」 『もしもし‥‥‥』 「ああ、親父。桐乃と会えたよ。日本に帰るってさ」 『そうか‥‥‥。じゃ、母さんに代わるぞ』 早ッ! 短ッ!! 典型的な頑固親父って感じだな。 もうちょっと言いようがあるだろうに。 これからの予定をお袋に伝えて電話を切った。 ピッ 「ウ・ソ・ツ・キ」 電話の途中で俺のベッドに潜り込んで会話を聞いていた桐乃が悪戯っぽい顔で言った。 「何だよ、ウソツキって?」 「ふふん、『ベッドに潜り込まない』なんてウソ吐いちゃって」 「オマエの方から俺のベッドに潜り込んで来たんだろ!」 髪も乾いてないのにベッドに潜り込んできやがって。シーツが湿ったじゃねえか。 「そんなの、鶏が先か卵が先かの違い程度でしょ」 「全ッ然ッ違う! 意味通ってねえし!!」 「つうか、お母さんの声聞きたかったしい」 「だったら電話に出れば良かったじゃねえか。さっきの例えもおかしい!」 「じゃあ、例えたらどんな感じなのよ?」 「そうだな‥‥‥、例えば、アレをしてから恋人になったか、 恋人になってからアレをしたかの違い‥‥‥かな?」 ―――ドスッ!! 「ア、ア、アンタ、普段からそんなコト考えているワケ!?」 「いってえな! い、今の鳩尾は‥‥‥効いたぞ!」 「それじゃ、今度はアタシの我が侭をアンタが聞く番ね」 「何のことだ?」 「アタシはアンタの我が侭で留学をやめるワケだから、 アンタもアタシの我が侭を聞くってのが筋だと思うんだよね」 また始まった。 もっとも、コイツの我が侭なんて今に始まったことじゃないからな。 どんな我が侭を言い出すことやら。ほれ、言ってみな――― 「お、おやすみの‥‥‥キス‥‥‥して」 「な! 何を言ってんだ、オマエ!!」 「だってココ、アメリカじゃん? 挨拶代わりのキスくらい普通でしょ?」 「でも! 俺たちは日本人だろ!」 「ハァ? ナニ解り切ったコト言ってんの? 頭大丈夫?」 コイツ、留学期間中にエロゲ脳がアメリカナイズされてんのか? 「いいじゃん‥‥‥ダレも見てないんだし、ダレも邪魔しないんだし」 桐乃と一緒にベッドに横たわった俺はこの状況をどう打破するか考えた。 折角、俺があれだけ思いの丈を吐露してコイツの決心を曲げさせたのに、 ここでヘソを曲げられて日本に帰らない、なんて言い出されたらたまらんな。 仕方ない‥‥‥のか。 「桐乃‥‥‥おでこでいいか?」 「フン、弱虫‥‥‥」 俺は両手でライトブラウンの髪越しに桐乃の頭を撫でるように捕えた。 そういえば、桐乃の髪に触れるなんて‥‥‥記憶にないな。 柔らかい手触りの前髪をかき分け、額にキスを――― ピリピリピリピリピリピリ――― 俺と桐乃は携帯の音に掻き乱された。 「電源切っておけバカ兄貴!」と言いたげな渋い顔をする桐乃を横目に 俺は携帯を取った。 「‥‥‥あやせ?」ピッ 『お、お兄さんですか!? あやせです! 桐乃と会えたんですか? 本当に会えたんですか? どんな様子ですか? わたし心配でお兄さんの お母さんに電話をかけたら、お兄さんが桐乃と会えたって教えてもらったから 電話したんです! 桐乃と部屋で二人っきりって本当ですか!? もし桐乃にいかがわしいコトをしたらブチ殺しますよ!!』 ―――大丈夫。する寸前だっただけだ。 それにしてもあやせの桐乃に対する思い入れっぷりってハンパねえな。 あやせを落ち着かせながら、俺は桐乃のことを一通り話した。 『そうですか。ところでお兄さんは今何をしているんですか?』 「ベッドの上‥‥‥つまり、寝ていた」 『あッ! そっちは夜中でしたね。すみません』 「別にいいよ」 『桐乃に代わってもらえませんか?』 「ああ、ちょっと待ってくれ」 桐乃に目をやると、マル顔の前に指でバツ印を作っている。「ダメ」ってことか? なんだよ、折角あやせが電話をかけてきたってのに。 「ああ、済まん。桐乃は寝ているよ」 『そうですか‥‥‥。どんな顔で寝ていますか?』 「いつも通りだ。ちょっと疲れているような感じかな」 『‥‥‥』 「あやせ?」 『あの、ベッドの上に居るお兄さんがどうして桐乃の寝顔を伺えるんですか?』 げ! しまった!! 誘導尋問ktkr。 『お、お兄さん!? まさか桐乃と一緒に寝ているんですか!? ゆ、許しませんよ! 桐乃と部屋で二人っきりでしかも一緒に寝ているなんて! もし桐乃にいかがわしいコトをしたらブチ殺します!!』 ラブリーマイエンジェルとの素敵な会話を終えた俺は携帯の電源を切った。 それにしても桐乃‥‥‥ 「オイ、なんであやせの電話に出なかったんだよ?」 「いいじゃん、別に‥‥‥」 「いいってコト無いだろ。折角心配してかけて来てくれたんだぞ!」 「うっさい、電話に出る気分じゃなかったの!」 「てめ、なんだその態度は!」 「何よ、あやせと国際電話でデレデレしてさ。チョーキモイんですけど」 「‥‥‥おい、夜中だぞ。声を抑えろよ」 「うっさい、アタシの勝手でしょ!」 ダメだコイツ。こうなるといくら口で言っても聞きやしねえ。 こうなったら‥‥‥ 「最低ッ!! アンタ一人で日本に帰れば う‥‥‥!! うふ‥‥‥ん」 俺は桐乃の頭の後ろに腕を回し、桐乃を抱き寄せてキスをした。 桐乃を黙らせるにはこれしかない―――我ながら大胆な行動だった。 遠くアメリカの空の下という環境がそうさせたのか。 静かにさせるためとはいえ、無理矢理キスをするなんて最悪な鬼畜兄貴だな、俺。 どのくらいの時が経っただろう。俺は大人しくなった桐乃から離れた。 桐乃はワナワナ震えている。心無しか躯も熱くなっているようだ。 鬼畜兄でゴメンな桐乃。悪いとは思うけど、謝るつもりは無いぞ。 さて、どんな罵声が飛んでくるのか。変態? シスコン? 強姦魔? 「桐乃―――?」 何も反応がない桐乃の表情を覗こうとした瞬間、桐乃の顔が目の前に迫って‥‥‥ ―――キスされた。 ‥‥‥‥‥‥ 「ちょっと、いつまで寝てんのよ?」 我が妹様の侮蔑色満載の言葉で俺は起こされた。 日射しが眩しい。西海岸の夜明けは日本と一味違う。 などとアメリカっぽい朝を味わいながら、俺の記憶の中身を呼び戻していた。 「コーヒーでいいよね?」 時差ボケの頭を手で叩いていると桐乃が訊いてきた。 桐乃がコーヒーを入れてくれるらしい。どんな風の吹き回しだよ。 こんなやさしい感じの態度を除けば、桐乃に別に変な様子は無い。 俺が無理矢理キスをしてしまったのに、桐乃は気にしてないのか? まさか‥‥‥あれは全部夢?? はぁー。なんだそうか。俺は安堵の深いため息をついた。 俺はアメリカの空の下で妹に無理矢理キスをした鬼畜兄貴に零落れたと思ったぜ。 「今日、日本に帰るんだかんね。さっさと支度しなさいよ」 「へいへい」 「それとひとつだけ言っておきたいことがあるんだケド」 なんだよ? 「ア、アレはアメリカ限定だし! 日本じゃ絶対‥‥‥あり得ないんだから!」 ‥‥‥? アレって? 何のことだ? ああ、無理矢理コイツに陸上留学を断念させたことか。 安心しろ。あんな見苦しい俺の泣きなんて日本でやる勇気はねえよ。 全てはアメリカの空の下で成されたことだ。 「それと、アタシのモットーは『やられたらやり返す』ってコトを忘れないように!!」 やり返す‥‥‥だと? 別に俺はアメリカに黙って行くつもりなんて無いし、どうやり返すというのだ? 「とにかく、アンタはアタシの人生を変えたんだから、その責任を負いなさいよね」 ゴメンな桐乃。悪いとは思うけど、謝るつもりは無いぞ。 その代わり、日本に帰ったらオマエの我が侭を「ある程度」聞いてやるからさ。 勘弁してくれよ。 『アメリカの空の下で』 【了】
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http //pele.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1306742825/291 「お兄さん、実は初めて会ったときから、ずっと‥‥‥好きでした!」 俺は『ご相談があります』の決まり文句であやせの家に呼び出されていた。 どうせいつも通りロクなことにならないと思っていたが、今日は違った。 あやせは冒頭の言葉を皮切りに、潤んだ瞳で俺を見つめ、俺に縋り付き、 俺にキスを求めてくる。キタ――――ッ!! と思ったのもつかの間、 『あやせ? 誰か居るの?』 「いけない! お母さんだ。お兄さん、隠れて下さい!」 あやせは部屋の隅にある箱の蓋を開けると、その中に入るように俺に言う。 言う通り俺が中に入るとあやせは蓋を閉じた。息苦しい。密閉性の高い箱だ。 「あやせ‥‥‥なんかこの中、息苦しくてイヤな感じだ」 「我慢して下さい。そこがお兄さんの終の棲家になるのですから」 「え?」 「お兄さん、ずっと私と一緒ですからね。ウフフフ」 あやせはそう言うと、箱の蓋の小さな穴からホースを差し込み、水を入れ始めた。 止めてくれあやせ! 水はあっという間に箱の天辺まで到達し、息ができない。 薄れ行く意識の中、暗闇の中で目を開くと、目の前にはあやせの顔。 「うわああああああああああああ!」 「ど、どうしたのですか? 京介さん!?」 「あ? ゆ、夢? はぁー‥‥‥夢かぁ」 「もう! そんな大声出したら、この子も驚いちゃいますよ」 あやせはそう言って、大きく膨らんだ自らの腹を優しく撫でる。 俺は、あやせと間もなく生まれてくる子供の前で醜態を晒してしまったわけだ。 そんな俺にあやせはいつものように、おはようのキスをしてくる。その時――― 「うわああああああ、おとうさんとおかあさんがチューしてるうううう!」 4歳の我が娘がキラキラした目で俺達を見ていた。そして――― 「おにいちゃーん、おとうさんとおかあさんがチューしてるよううう!」 「こら、ダメだろ。お父さんとお母さんの邪魔をしちゃ!」 我が息子は3歳下の妹を優しく諭すように叱る。 「ねえねえ、ママにもおしえてくる!」 そして、リビングの方から娘に手を引かれてやって来た“ママ”が渋い顔で言う。 「アンタ達、仲が良いのはいいケド、この子達がいるんだから自重しなさいよ」 俺達の子供に“ママ”と呼ばせている我が妹・桐乃が呆れ気味に言い放った。 「お父さんとお母さん、ホント仲が良いよねえ、みやびちゃん」 「おい、そこのエロゲ脳! 名前が違う!」 「いいじゃん。この子だって喜んでいるみたいだし。ねえ? みやびちゃん」 「『今日からよろしくね、おにいちゃん』」 「フヒヒヒヒ‥‥‥」 「もう、桐乃ったら!」 いつの間にか娘は“みやび”の台詞を覚え、あやせは桐乃の趣味に理解を示した。 俺達の一家は桐乃の罠に堕ちてしまった。でも、こんな生活も悪くない‥‥か。 『罠に堕ちて』 【おしまい】
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http //pele.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1306742825/37-43 「加奈子、明日公園に来てくれ」 俺がそう加奈子に話したのは昨日の夜。 先日加奈子が帰った後、俺が出した答え。 それを実現するためだ。 こんな俺でも結構悩んだんだぜ? 俺を取り巻く皆を、幸せにすることは出来ないのか。 二兎追うものは一兎も得ずとはよく言ったもので。 やはり、必然的に幸せの裏には不幸せが生まれてしまうんだろうか・・・。 そう悩んで、出した答え。 それを今から、伝えにいくんだ。 ・・・。 なんか、超緊張してきた。 *********** 現在俺は、公園にいる。 いつかあやせと奮闘したあの公園だ。 待ち合わせ時間より大分早く来ちまったけど・・・ 加奈子のやつ、また遅刻したりしねーだろうな。 ・・・さて、待っている時間はどうしようか。 暇だから俺の生い立ちを・・・え?いらない? じゃあ俺が悩んだことを少し聞いていただこうか。 みんな、こんな経験はないだろうか? 気になる娘が近くに何人もいてしまう状況。 もしこの中の誰かが自分のことを好きになってくれ、告白されたとして 他の気になる娘と付き合える可能性を捨ててしまいそうだから付き合えない。 でも告白してくれたことも付き合いたくてうわああああああああああああああああああああああ! ってこと。 俺が置かれている状況が、好きを幸せに置き換えたそれだ。 俺は加奈子が好きだ。強いて言えば黒猫も、あやせも。そして・・・桐乃も。 この全員を幸せにしてやりたい。 でも誰かの幸せを優先すると誰かが不幸せになる。 全員の幸せを取ることは・・・そんな欲張り、恐らく出来ないだろう。 それでも俺は・・・って!加奈子来た! 俺の視線の先には、公園の入り口を通過した制服姿の加奈子がいた。 アイツも何分鋭いヤツだ。これから起こることを大体理解しているだろう。 少し俯いて、ゆっくりと俺に近づいてくる。 「お、おう。今日はどうしたの?」 「いや・・・。ちょっと、伝えたいことがあってな。」 そこで加奈子の身体がピクッと動いて、すぐ止まる。 「でも、今から言うことはお前が喜ぶ話じゃないかもしれない。それでもいいか?」 「え?」 加奈子が素っ頓狂な声を上げる。そりゃそうだよな。 告白されると思ったら、楽しくない話をする宣言をされるなんて。 「うん・・・。いいよ。」 でも、それを受け止めてくれる。コイツはそういうやつなんだ。 ・・・さて 黒猫に捧げると決めたはずの、初めての告白。 昨日黒猫に電話で「他の人に告白をあげてもいいか」という話をしたところ 「・・・勝手になさい。私があなたの行動を制限する権利は無いわ。」 とのことだった。黒猫の悲しみを押し込んだ声は、本当に聞いていて辛かったが。 「加奈子。」 「っひゃ!はい!」 「俺たちさ、最初は妹繋がり、仕事繋がりの仲でしかなかったよな。 お前が家に来たときも、きっと交わることなんてないんだと思ってた。 そしたら急にお前からメール来てさ・・・。ビックリしたよ。」 「か、加奈子だって結構勇気振り絞って送ったんだからな!」 「へへ、そーかい。でもそのメールのおかげで俺たちの距離を縮められた。 本当に感謝してる。あの時メール送ってくれて、ありがとうな。」 「別に・・・。加奈子がやりたくてやっただけだし。」 「それでも、だ。あのメールが無かったらきっとこんな気持ちも芽生えなかった。 電話も出来なかった。二人で出かけたりも出来なかった。 そんな俺の人生に楽しい事を足してくれたのは、加奈子だからな。」 「・・・うん。」 「今まで知ろうとしなかったことを知って、理解して。 いつ頃ぐらいからか忘れちまったけど・・・。」 「俺は、加奈子のことが好きだ。」 ああ、言ってしまった。 いま俺は、多くの可能性を切り捨てた。 その分、新しい可能性を信じて。 「京介。」 「ど、どうした?」 「ありがとう。こんな加奈子のこと好きになってくれて。 どんなワガママも受け止めて、理解してくれて。 ・・・本当にありがとう。加奈子も京介のこと、好きだよ。」 そして返事が返ってくる。 こういう返事が返ってくると分かっていたにせよ、ものすごい安著感。 でも、これから俺はこの加奈子にとって辛いことを言わなければいけない。 それを加奈子が受け止めてくれるか・・・。 「そうか、じゃあ晴れて両想いだな。」 ちょっと冗談っぽく空気を和ませて、本題に入る。 「でも、加奈子。俺は今まだ前と付き合うことは出来ないんだ。」 「・・・。」 沈黙が痛い。 でもこれは、伝えておきたいから。 「お前にも前話したよな。桐乃や、瑠璃のこと。 俺がお前と今付き合ったら、アイツらは傷ついちまう。」 「・・・。」 「いつかアイツらが強くなって、全てを受け入れられるようになるまで、 俺が不幸になるって決めたんだ。」 「でもそれは、お前まで巻き込んじまう。 そんなわがままな俺でも、お前は好きでいてくれるか?」 これが、俺の出した答えだ。 欲しいものがいくつもあるなら、欲張っちまえばいい。 自分を不幸にしてでも、幸せになってほしい人がいるから。 もしこれを加奈子が受け止めてくれないのなら、俺は加奈子を諦めるしかない。 それは、先日から決めていたことだ。 強いて言えば、不幸になるのは俺だけでもいいんだ。 俺より良い男なんていくらでもいるだろうから 加奈子達には他の幸せを見つけてもらえればいい。 もっとも、それを選ぶのは加奈子なんだけどな。 加奈子はどんな答えを出すんだろうか。いまだに沈黙が続いている。 何分続いているかは分からない。 一秒かも知れないし、十分以上かもしれない。 そんな沈黙を蹴散らすように、加奈子がゆっくりと口を開いた。 「・・・ホンット、お人良しなんだから。」 「しょうがねーだろ。こういう性格なんだよ。」 「でも、加奈子が好きになったのはそんなお人好しな京介だから。 いつまでだって待ってやんよ。」 「そもそも付き合うのと他人はノーボーダーだから! お互いが好きでいられるなら、それでいいじゃんヨ!」 強がりかと思えば、どうやらコイツこれを本心で言ってるらしい。 なんだか・・・、俺って思ったより愛されてんの? 「本当に、いいのか?」 「男と加奈子に二言はないの!」 「うわわッ!」 話の流れを無視し、加奈子は急に俺の胸に飛び込んできた。 これってもう、付き合ってるのと変わんないんじゃね? そんな疑問は、君達の澄んだ心の中にしまっておいてください。 加奈子は俺に抱きついた状態のままで、こんな話を始めた。 「こんなことになってるのも、全部加奈子のメールのおかげだぜ?もうちょと感謝したらどうヨ?」 「そういえば、お前なんであの時メールしてきたんだ?」 「加奈子はさ、メールする前から気になってたの。京介のこと。」 衝撃の事実。 加奈子の中にいる俺は、最初から桐乃の兄貴っていう立場じゃあなかったみたいだ。 「いつからだったかな。多分、2回目にマネージャーやってくれたぐらいだったはず。」 「加奈子、人を好きになったことってあんまなくって。 マネージャーやってる京介と喋ってるときに気付いたんだ。 『ああ、これが人を好きになるってことか』って。」 ブリジットにナンパの方法しか教えなかったのはこのせいか。 「でも、オメー急にいなくなっちゃうからさ。 そりゃもう必死に探したんだよ?そしたら、桐乃の彼氏に会って・・・。 そこから最初のメールにつながるってコト。」 「そっか、なんか悪いな。急にいなくなっちまって。」 「ホント、もっと反省しろよな。」 あんな告白の後だというのに、こんなに冗談を交し合える。 これってなんでだろう?性格が合ってんのかな? 「つーか、さっき京介ばっかり喋ってアタシの気持ちがあんまり言えなかったんだけど。 初めての告白のイメージが丸つぶれだよー!」 「そこでも怒られんの!? いいじゃねえか、今からでも言っちまえよ。」 「え!? いや、それは恥ずかしいって言うか・・・」 「俺だって恥ずかしかったよ。ホレ、言ってみ。」 「うぅ・・・。京介のバカ。」 「バカで結構!さあ、どうぞ。」 「わかった、言えば良いんでしょ?!」 「・・・。いざとなればなんて言って良いかわかんネーな。」 「散々じらしてそれかよ!」 「でも、加奈子が京介を好きなのは嘘じゃないから。 いつまで待たされても、ずっと待ってるから!はい、お終い!」 そういって照れ隠しかそっぽを向いてしまう。 なんだか今はこういう仕草がいつにも増して愛しい。 「で・・・。いつまで待てばいいの?」 ッ!油断したらキラーパスが飛んできやがる! 「いつまでって・・・。瑠璃達が好きな人が出来たりして、 俺が加奈子と付き合うのを受け入れられるようになるまで?」 「そっか。じゃあいつまで経っても無理かもしんないな。 オメーみたいなお人好し、忘れようと思っても忘れられネーだろ。」 あら、恥ずかしいこといってくださるのね。 「別に、忘れられなくても受け入れられるようになる日が来るだろ。」 「そうだといいけど・・・。」 そう思うと、付き合うまでかなり時間が掛かってしまいそうだな。 ただでさえ好きな気持ちを伝えるのに時間が掛かった俺たちのことだ。 きっとこれから何をするにも、俺たちは多くの時間を費やしてしまうだろう。 たとえばキスだったり、エッチなことだったり。 「京介、変なこと考えてる?」 「別に。」 桐乃達が全てを受け入れられるようになったら・・・また、ここで告白しよう。 それまでどれくらいの時間が掛かるかは分からない。 メールから始まって、驚くぐらい無垢で純粋な愛情をゆっくりと育て上げてきた俺達だ。 きっとどんな時間の流れにも、耐えられるはずだから。 それが5年後であろうが、10年後であろうが。 それまでずっと、加奈子を離さずに手を握っていてやろう。 加奈子から離すことはあっても、俺からは絶対に離さないでいよう。 いまは、加奈子に対して純粋にそう思える。 これからどんなスローペースで俺達の恋がすすんでいくんだろうか。 そんなことは誰にも分かりやしないだろうけどさ。 「京介」 どうした? 「これからもずっと・・・一緒にいような。」 あたりまえだろ? 優しい風が、俺達を撫でる。 またここで、こうやって風に撫でられることがあるなら。 そのときはきっと、繋がっていよう。 お し ま い
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http //yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1293190574/850-854 「ちょっと早く着き過ぎたな…」 待ち合わせ場所である駅の改札口を出て俺は呟いた。 今日はブリジットとのデート当日である。昨日から桐乃が妙に絡んでくるので、デートだと気付かれる前に朝飯も食わず家を出て来た。ひょっとして俺って顔に出やすいのかね…。 待ち合わせの時間まで一時間以上も早く着いた事もあるので、俺は軽く朝食を食べれる場所を探そうと辺りを見回した。すると通路を挟んでコインロッカーコーナー脇の柱の前に、見覚えのある顔を発見した。 「ブリジット…?」 一瞬見間違えかとも思ったがやはりそこにいるのは、俺がマネージャーをしてるモデルであり、同時にポニーテールが似合っている最愛の恋人であった。 今日の彼女の装いは襟の開いたカーディガンにチェックのミニスカート、その上から暖かそうなハーフコート、そしてミニスカートから伸びるすらりとした足は黒いストッキングで包まれていた。 ブリジットはちらりと腕時計に目をやると軽くため息をつく。そして肩から下げたトートバックを覗くと、何が嬉しいのかニッコリと笑みを浮かべるとまた腕時計を見た。 その様子が可愛いらしく、もう少し眺めていたかったが俺は声をかける事にした。 「おはようブリジット」 「ひゃう!?き、京介お兄さん!?」 悪戯心を起こし、ブリジットの視界に入らないようそばに寄ってから声を掛けたのだが、こんなに驚くとは… 「ど、どうしたんですか?まだ待ち合わせまで一時間もありますよ」 まさか妹の追求をかわすため早く家を出たとも言えず、とっさに質問を返してごまかす。 「ブリジットこそどうしたんだ」 俺の問い掛けに、ブリジットは、顔を赤くしてパタパタと手を振りながら 「あの、その、今日のお出かけが楽しみでいつもより早く目が覚めて朝ごはん食べても時間余っちゃってそれでお出かけの時間まで待ち切れなくて…ケホッケホッ!」 息継ぎもせず喋り続けむせてしまった。俺は背中をさすってやりながら宥めにかかる。 「わかったから少し落ち着け。要は俺と出かけるのがそれだけ楽しみだったって事だろ?」 ようやく落ち着いてきたブリジットはコクリと頷いた。くぅ~可愛いな!こんな可愛い娘今時希少種だよ、ワシントン条約で保護すべきだよ、いやそうなると一緒にいられなくなる!やはり俺が保護して面倒みるしかないね!ハイこれ決定! 「あの~、京介お兄さん?」 ブリジットの呼びかけに俺は、飼い主の義務として首輪を付けようする妄想から帰って来た。 「…ハッ、よし、少し早いけど出かけるか」 「はいっ!」 電車に乗り込むと、まだ早い時間のせいか乗客の数はまばらだった。おかげで、俺達はボックス席にゆったり腰を落ち着ける事ができた。 しばらくして、崎陽軒の袋を下げた乗客が通り過ぎていった。途端に忘れてた空腹感が甦り、我慢する間もなく腹が鳴った。それほど大きな音ではなかったがブリジットにはバッチリ聞こえたようだ。うわカッコ悪ぃ! 「お兄さん、朝ごはん食べてないんですか?」 「ああ、ちょっとバタバタして食いそびれた」 するとブリジットは傍らに置かれたバッグからバスケット型の箱を取り出した。 「お昼にと思って作ってきたんですけど、よかったらどうぞ」 受け取って蓋を開けると、中には上品なサイズにカットされたサンドイッチが並んでいた。 「これ…お前が…?」 「はい。でも朝になって急に思い立ってから作ったんで…。冷蔵庫の余り物ばかりですからあまり期待しないで下さいね?」 そう言って照れ臭そうに俯いた。いやいや、ブリジットの手づくり弁当だぜ?期待するなってのが無理だろ!俺は有り難くいただく事にした。 う、美味い!スライスされた胡瓜は余分な水気を取ってあるし、チーズに塗られたマヨネーズは手作りか手作りに近いものだ。ハムと一緒に挟まれたレタスもパリッとしている。夢中で頬張っていると目の前に紙コップが差し出された。 「どうぞ…紅茶ですけどいいですか?」 見るとブリジットは小ぶりの魔法瓶を手にしていた。俺が湯気の立つ紙コップを受け取ると、自分の分の紙コップにも紅茶を注ぐ。そして嬉しそうに俺の食べっぷりを眺めている。う…なんか気恥ずかしい…。 「ごちそうさま。美味かったよ」 空になった弁当箱を返しながら俺は礼をいった。 「はい、お粗末様でした」ブリジットは、日本人でも若い世代は使わない言い回しで答えながら弁当箱を受け取った。 しかし…早起きしたって言っていたが、弁当作った上に一時間以上前に待ち合わせ場所に来ていたわけだが何時に起きたんだ? 俺は改めてブリジットの様子を伺う。時々目をしばたたかせている。それに会話が途切れるとボーっとしている。 「なぁブリジット、少し眠いんじゃないのか?」 俺の問い掛けに、ブリジットは徐々に俯き出した顔をハッと上げ慌てて否定する。 「だ、大丈夫です!眠くなんてありません!」 いや、端から見たら明らかに眠そうだって。 「目的地に着くまでまだに20分以上ある。目をつぶっているだけでも違うから休んでろ」 俺の奨めにブリジットは渋っていたが 「目的地についてから眠くなるよりはいいだろう?」 という俺の言葉に渋々納得したようだった。そこで俺はブリジットの隣に席を移った。 「お、お兄さん!?」 「俺に寄り掛かっていいから目つぶってろ。着いたら起こしてやるから」 ブリジットはしばらく逡巡していたが 「じゃあ…失礼します…」そう言って俺の肩に頭を預けてきた。そして5分も経たずに熟睡していた。 「やれやれ…」 この様子だと、昨日も興奮して中々寝付けなかったんだろう。それでいて早起きして弁当まで作って…。 弁当にしたって、朝になって思いついたなんて下手な嘘つきやがって。パンだってパン屋に朝一で焼きたてを買いに行ったんだろ?でなきゃ、あんなにふんわりとしてないって。マヨネーズだって手作りだと日もちしない事くらい俺だって知ってるさ。 ブリジットが目を覚まさないように、頭をそっと肩から膝の上に移す。そして、頬にかかった髪を直してやりながら俺は呟く 「ありがとうな、ブリジット」 今日一日、いっぱい楽しい思いをさせてやろう。 「ん……ふぁ…」 ああ、やっと目が覚めたようだ。ブリジットはゆっくりと上半身を起こし、ここが何処だか確認するように周りを見回した。そして意識が完全に覚醒したのか、ぴょこんと立ち上がった。 「はぅ!ごめんなさい、私どれくらい眠ってましたか?」 「ん~40分位?」 「あぅ…本当にごめんなさい、せっかくのお出かけなのに私ってば…、それにお兄さんのズボン…」 俺のズボンの太腿部分は、ブリジットのよだれで染みが出来ていた。 「すぐ乾くから気にするな」 「気にしますよ!」 そういってブリジットはバッグからウェットティッシュを取り出し、よだれを拭いだした。 女の子を足の間に膝まずかせティッシュで処理をさせてる…端から見たら色々と誤解を与える光景だ。うん非常にまずい! 「ブ、ブリジット、本当にいいから!それにもう次の駅に着く!一回そこで降りよう!」 強引に切り上げさせると、ブリジットを促し立ち上がった。 「ここ…どこですか?」 ホームに降り立つと、ブリジットが聞いてくる。 ホームの駅名表示にはこう書かれていた 『北鎌倉』 続く ※おまけ・あるいはデート前日の風景 「かなかなちゃん、本当にありがとう!」 加奈子の目の前でブリジットが満面の笑みを浮かべている。両腕で買ったばかりの服が入ったビニール袋を抱きしめている。 「お兄さん、気に入ってくれるかな~?」 「あにいってんだよ、加奈子のコーディネートだぜ?気にいるに決まってるだろ」 「そうか…うん…そうだよね!」 センター街の入口でブリジットと別れる事にする。 「じゃあ今日はさっさと寝ろよ。でないと寝不足のヒデェ顔で出かける事になるぞ」 「うん!今日は本当にありがとう!」 「あぁ~それはもうさっきも聞いたって」 そう言って加奈子は手で追い払う仕草をする。そんな態度にブリジットは腹を立てる事もなく、加奈子に手を振ると地下鉄に続く階段を下りていった。 ブリジットの姿が見えなくなったのを確認すると、加奈子は携帯をかける。 「もしもし、加奈子だ。オメー明日はしっかりエスコートしてやれよ?あいつ、めちゃめちゃ楽しみにしてんだからな。それと服、会ったら必ず褒めてやれよ?加奈子がわざわざコーディネートしてやったんだからな」 その後もいくつかの注意点を告げると通話を終えた。 「ったく世話がやける連中だぜ…。さて歌舞伎町でも軽く流してから帰るかな」 そう言って、口は悪いが妹分思いの少女はJRの駅に向かい歩き出した。 終
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http //yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1266820218/440-442 開放的理乃 桐乃が陸上の為のアメリカ留学で世界のレベルの高さを目の当たりにし、心身ともに限界状態だったあいつを放って置けず。 俺は即渡米し何とか説得して二人で帰国したのはつい先日の事だ、体感では何週間も前の出来事の様に思えるがな。 だが、あいつは帰国してからと言うものどうも様子がおかしい。 あいつの宝物であり生き甲斐の一つの押し入れに隠されたコレクションを捨てろとメールで伝えてきた、 あの時と比べれば大した事は無いのかも知れないが。 かも知れないのだが……正直俺は戸惑っている。 姉や妹が居る奴なら分かって貰えるだろうが、基本的に兄弟は男と見なしてもらえない物だ。 だからこういう時どう言えば良いのか悩むところなのだが。 よし、まずは状況を整理しなければならないな。 クラスメイトに相談でもしようものなら異端審問が開かれかねないから赤城にも言えないが。 桐乃がな……恥らいが無くなったつーか、暑いからって下着姿でリビングをうろうろしたりするんだぜ。 正直、目のやり場に困る。 もし、妹の下着姿を見て勃ってしまったりしたら兄として情けないじゃないか、それよりこれをあやせに知られたら殺されかねない。 だから、兄の尊厳と俺の命を守る為にも一発ガツンと言ってやらないとな。 丁度、桐乃が風呂から上がって下着姿のまま冷蔵庫のドリンクを飲みにリビングへ入ってきた所だ。 「お、おい桐乃!最近お前格好がだらしな…い……ぞ?」 「なにぃ?」 と言って俺の方を向いた桐乃を見て俺は愕然とした。 「ってオイ!ブラも付けてねーじゃねーか!」 「はァ?ちゃんとタオルで隠れてるからいいじゃん」 いやいや、タオルを巻いてるならまだしも首からかけてるだけじゃねーか! フェイスタオルほどのサイズの布は乳首は辛うじて隠れている物の、自己主張をし出した丸く形の良い胸はほとんど丸見えだった。 「隠れてるって言うか動いたら完全に見えるだろうが!」 「別にいいじゃんあたしが気にしないんだから、アメリカじゃこんなの普通だしー、あたし寝るときはブラしないから面倒なんだよね」 「気にしないってお前……」 A「お前が気にしなくても俺が気にするんだよ!」 B「親父が見たらどうするんだよ」 A 「お前が気にしなくても俺が気にするんだよ!」 意を決して俺がそう告げると、桐乃は驚いた様なきょとんとした顔をした後に暫し考え込む動作を見せたが。 「へぇ、あんた妹のあたしの体見て欲情したんだ。これだからエロ妄想ばっかしてる童貞は」 と黒猫に自慢を言っている時のように勝ち誇った様な嫌味な顔をした。 お、押し倒してー……じゃなかった、張り倒してぇ! 「……ど、童貞ちゃうわ!」 咄嗟にそう言い返すので精一杯だった。べ、別にエロ妄想なんかしてないんだからな!童貞かどうかは置いといて。 「へぇ、童貞じゃないなら別にイージャン。おっぱいくらい見慣れてるんでしょ?」 「ぐ……ッ」 こんな時どうやって言い返せば良いんだ。ちくしょう!舐めやがって! そう言えば、前に見たアニメにこんなシーンあったな。 「それは違う、桐乃の裸に少しはいやらしい気持ちになったりもする」 「な~んだ、見栄張っちゃって本当は童貞なんじゃん」 「俺が童貞かどうかは置いてといてだな、女の子はもっと恥らいを持たないとダメだろ」 「さっきも言ったけど、アメリカじゃこんなんふつーだしー」 結局、そこに戻るのか。 「お前がそこまでアメリカ式に拘るならこっちにも考えがあるぞ」 「何?あんたも脱ぐとか抜かしたりするんじゃないでしょうね、この変態」 は、はっはっは、そんな安直な事するわけないじゃないかエロパロスレじゃあるまいし。 「アメリカで下着姿で家の中彷徨くのが当たり前なら、家族ならハグしたりキスしたりするのもアメリカじゃ当たり前だよな」 「え……?そりゃ……まあ……」 「ならこうするまでだ!」 俺は正面から桐乃に抱き着いた、俺の着ているTシャツとタオル越しに柔らかい感触が伝わってきて、 風呂上がりの石鹸とシャンプーの良い匂いが鼻孔を刺激する。 やべぇ柔らけー!こうやって密着すると心臓の鼓動まで聞こえてくる、桐乃の奴は驚いたのか心臓がバックバクだ。 「ちょ……ちょっと!」 「何だアメリカじゃ普通の事なんだろ?」 さっきとは攻防が逆になりこちらから意地悪な台詞を吐いてやる。 「そうじゃなくて、暑苦しいから止めてよね!」 「それじゃ答えになってないな、ハグの後のキスがまだだぜ」 そう言って桐乃の背中に回していた両手のうち右手だけを離し、その右手で桐乃の顔を上に向けさせー 「いい加減にしろー!」 同じく片手が自由になった桐乃の張り手が俺の頬に炸裂した。 桐乃は顔を赤くし目には涙を浮かせて、ゼェはぁ言いながら肩を荒く上下させていた。 どうやらこの勝負俺の勝ちみたいだな。 勝利宣言を言おうと思ったその時、ばさりと言う音がして桐乃の肩にかけてあったタオルが床に落ちた。 「これに懲りたら風呂上がりでもまともな格好しt……て、おい!おっぱい丸見えだぞ!」 「ふぇ?あ……キャー!!」 よっぽど恥ずかしかったのか桐乃はタオルをほっぽり出して階段をドタドタ登って自室に逃走したみたいだ。 さっき、一瞬見えたが桐乃の乳首ってあんな形してたんだな、なんかちょっと起ってた様な……。 その後は、桐乃も羞恥心を取り戻したのかそれとも俺のお灸が効いたのか、とにかくタオル一枚や下着姿で家の中をうろつく事も無くなった。 だが、相変わらず風呂上がりはキャミソールやらタンクトップやらの下にブラは付けてない様だ。 あの時裸を見てしまったからかどうかは分からないが、胸の頭頂部にポチリと浮かぶビーチク様が気になって仕方ない。 けど、せっかく少なくても服を来てくれる様になったのに余計な事言って悪化させても困るから苦言を呈する事も出来ん。 世のお兄ちゃん達は妹のけしからん格好を見たらどうやって窘めてるんだろうな。 言っても聞かないからそのまま放置だって?そんな事してたら俺の股間が有頂天になってしまうじゃないか。 いや、昔は兄妹で一緒に風呂入ったりした事もあったはずだが、あの時は何とも無かったのにいつからこんな気持になる様になったんだろうな。 B 「親父が見たらどうするんだよ」 そう俺が言った瞬間「ぐふぉハァ!」という叫びと共にガタっと倒れる音がリビングの食卓用テーブルの方から響いた。 「って親父居たーーー!!?」 親父が血を吐いてテーブルに突っ伏していた。 「お、おい……大丈夫かよ親父!」 いくら刺激が強すぎたからって血を吐くなんてどんだけ親馬鹿なんだよ。今時ギャグ漫画くらいでしか見られない光景だぜ。 と思ったら吐血では無く鼻血だったらしい。 とりあえず、上を向かせて鼻血を止めないとな、それから鼻血を拭くものを用意しないと。 「ティッシュティッシュっと……」 「お父さんこれ使って」 そう言って桐乃はタオルを親父に手渡した。 「お、済まんな桐乃」 って、そのタオルはつい今しがたまで桐乃が使ってた奴じゃ……。 「ごはぁ!?」 案の定親父の目の前には桐乃の双丘が。 後日、高坂家の家訓に「例え自宅の中であっても妄りに肌を露出べからず」という項目が追加された。
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http //yomi.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1286349444/103-105 あやせ 京介x桐乃 「ちょっと、あんたこっち着て」 リビングでくつろいでいたら妹に呼び出された。 「最近 物騒だからあやせの家まで送って行くから、あんたもきて」 「俺も?」 「はぁ、あたしだけだと家に戻る時 あたし一人になっちゃうじゃない」 だからって二人で送らなくてもいいんじゃないか 「お前なら何かあっても走って逃げ切れんだろ、だいたいお前 帰りは俺と二人で歩きたいの?」 「なっ…」 「桐乃もお兄さんも心配しないで、それほど遠くないし一人で大丈夫だから」 マイエンジェルあやせたん やっぱりかわいいぜ 「よし俺が送ってくる。桐乃は家で留守番してろ」 「ちょっと、なんでそうなるのよ」 ちっ、なんとかこいつを残らせる手をないか? 「そろそろメルルの放送が始まるけどいいのか?」 「そんなの録画してるから大丈夫よ」 まあ当然か、よしここは 「今日後ろの番組が特番みたいで時間ずれてたぞ」 「えっうそ。ちょっと待ってて」 あわててリビングに戻る桐乃を見て、よしよし 特番なんて嘘だし時間変わっても追従するだろうに、メルルの事となると我を忘れるやつw 「じゃ行こうぜ あやせ」 「えっ でも」 「いいって、いいって さぁさぁ」 「なんで そんなにうれしそうなんですか」 逃げるように家をあとにした。あいつにばれる前に遠くに逃げないと 数分後 追って来られたら、どうしようかと思ったがとりあえず大丈夫のようだ が、携帯が鳴り出した、もちろん相手は桐乃 ここで出ないと確実に追われる 仕方なく出ると 「ちょっと特番なんて嘘じゃない、帰ってきたらひどいからね 覚えておきなさい」 「それとあやせに話しかけたり、近づいたら駄目だかんね、半径5m以内に近づいたら こ○すから」 隣にいるあやせにも聞こえるほどの爆音で伝えてきた 「それって端から見たら俺 完璧にストーカーじゃん」 「はぁー なんか言ったぁ」 「何でもありません」 「ちゃんと送るのよいいわね」 言いたいことだけ言って切られた。 その後すぐ、あやせの携帯にも着信があり。 「うん」「うん」「大丈夫だから」「なんかあったら通報するから」みたいなやり取りがあった。 絶対、桐乃だよな、でっかい釘刺されちゃたよ、しょがなくあやせの後を付いて行こうとすると 「お兄さん、大丈夫ですよ。私も少しお兄さんとお話したかったですから」 おおー ついに俺の心が通じたか、ここはひとつ愛について 「桐乃が帰国した時のことです」 へ・・・そっちかよ あんまり思い出したくないことを聞いてくるな。 「言っとくけどおまえを呼ばなかったのは、着信拒否されてたからで他意はないぞ」 「その時の話 じゃなくて」 「お兄さんが桐乃をアメリカまで迎えに行ったんですよね?」 なんでこんな事 聞いてくるんだ 「・・・ああ」 「お姉さんの携帯で私に連絡してきたとき、やっぱりお兄さんの所にだけ連絡きていたんですね?」 「連絡って言っても、業務連絡みたいなもんで たいした内容じゃなかったぞ 言えないけど」 内容教えたら なんで処分しなかったんですかと詰め寄られても困るから 黙っておこう 「言わなくていいです。だいたい解りますから」 「えっ」 「『兄貴に会いたい』って書いてあったんでしょ」 何を言い出すんだこいつは 「あいつがそんな事 書く訳ないだろ」 「でも その日のうちにアメリカまで会いに行ったんですよね」 痛いところを突いてくるな 「それは兄貴として、友達に連絡もしない妹を怒りにだな・・・」 「やっぱりお兄さんには勝てませんね」 あやせが急に割り込んできたので言葉に詰まってしまった 「桐乃って意地っ張りじゃないですか、向こうで全然勝てなくて、それでメールも電話も止めて 陸上に打ち込んでいたけど、それでも駄目で最後の最後に愛するお兄さんに頼ったんですよ」 「さっきも言ったけど、会いたいなんて書いてないし、あいつは俺のことなんかなんとも思っちゃいないだろ」 「メールの内容じゃなくて気持ちです。なんとも思っていない相手にそんなメールは出しません」 なんと返事をしていいものか。桐乃が俺のことを・・・ 妙な沈黙が続いたあと、あやせがつぶやいた 「できれば私に頼って欲しかったな」 「でも私じゃ桐乃に会いに行けても連れ戻せなかったと思うからやっぱり、お兄さんでよかったです」 「すみません、私の愚痴に付き合ってもらっちゃって」 「家 すぐそこなのでココでいいです。送っていただいてありがとうございました」 「ああ。じゃあ」 せっかくのマイエンジェルの笑顔なのに、桐乃の事が気になってそっけなく対応してしまった。 「それと桐乃の事これからもよろしくお願いします」 「ただし桐乃に手を出したら こ○しますから」 やっぱ怖ェ~ あやせ: 「お兄さんがシスコンなのはしょうが無い、手を出さないように釘も刺してるし 問題は桐乃がお兄さんにラブラブなのを兄妹とも認めない事よね。今気付けば引き返せるはず あの兄妹 早く何とかしないと・・・」 京介 帰宅後 ちょっと妹の友達とお話したからって、なんで俺は妹の部屋で正座させられて 妹から延々と説教されなきゃいかんわけ。 「あんた、ちゃんと聞いてるの」 桐乃が俺のことを・・・そんなことありえん。やっぱ可愛くない
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http //pele.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1299681223/865-880 桐乃「ちょっとアンタ、今すぐパンツ脱ぎなさい」 京介「……は?」 桐乃「だから、パンツ脱ぎなさいよ」 京介「ってお前!いきなり部屋入ってきて何言ってんだ!?」 桐乃「ハァ……、相変わらずの情弱っぷりね。いま起きてる放射能問題を知らないの?」 京介「いや、それぐらい知ってるけど、それと俺がパンツ脱ぐのと何の関係が……」 桐乃「あのね、ニュースによると、男の人の……せ……き……が、放射線被害の予防になるらしいのよ」 京介「せ?何だって?」 桐乃「えーっと、……せ……えき……よ」 京介「はぁ?聞こえねえって」 桐乃「だ・か・ら、せいえきよ! 精液っっ!!」 京介「うおおおおおおい!?なんてこと言い出すんだお前は!!」 桐乃「ホラ、ちょっとのこのページ見てご覧なさいって」 ttp //kamome.2ch.net/test/read.cgi/news4plus/1301021307/ 京介「ええと、なになに……精液に豊富に含まれるアミホスチンが放射線緩和に有効――」 京介「だから精液を飲めば放射能被爆防止効果がある……ってマジかよ」 桐乃「ね?専門家がこう言ってて、ネットニュースにもなってるのよ」 京介「事情は分かったけどよ……何で俺のなんだよ……?」 桐乃「そりゃあ、見ず知らずの男の人なんかに頼めっこないじゃん」 京介「そうかもしれないけど……お前は平気なのかよ?その……俺のを飲むなんて」 桐乃「別に好んで飲むわけじゃないって。薬なんだし、こんな状況なんだから仕方ないでしょ」 京介「……」 桐乃「んで、どうなの?協力してくれないの? あんたが駄目ならお父さんに相談するけど」 京介「ちょっ!?待て!それは駄目だ!それはなんか倫理的にとてもマズい気がする……」 桐乃「でしょー?だから消去法でアンタなんだってば。ほら、脱いだ脱いだ」 京介「しょ、しょうがねえ…… 予防のためなんだよな……」 桐乃「(じーーーっ)」 京介「おい、……別にお前が見てる前で出す必要はないよな?」 桐乃「えっ?」 京介「出したら容器に入れて渡すからよ……とりあえず出てってくれよ?やりにくいから……」 桐乃「ああ、それじゃダメよ。だって精子って空気に触れたら死んじゃうんでしょ?」 京介「確かにそういう話は聞いたことあるけど……」 桐乃「だから、出したのをすぐ飲まないと意味ないって」 京介「お前本気で言ってるのかよ……」 桐乃「別に気にしないから、チャチャっと始めちゃってよ」 京介「俺が気にするんだよ! まったく……妹の見てる前でだなんて……世も末だよ……」 桐乃「ほらほら、脱いで脱いで」 京介「くっ……しょうがねぇ……」ヌギッ 桐乃「(うわぁ……兄貴のって意外とサイズあるんだ……)」 京介「えっとさ……すぐに出るもんじゃないんで、しばらく後ろ向いててくれないか?」 桐乃「あ、ああ、うん。分かった……」 京介「……はぁ」 桐乃「……」 京介「……」スコスコ 桐乃「……」 京介「……」スコスコ 桐乃「……」 京介「……」スコスコ 桐乃「……」 京介「……」スコスコ 桐乃「……」 京介「……」スコスコ 桐乃「……」 京介「……」スコスコ 桐乃「……」 京介「……」スコスコ 桐乃「……あのさ、そんなに時間かかるものなの?」 京介「いや、なんていうか……」 京介「やっぱりお前がすぐ後ろに居ると思うとさぁ……気が散って無理なんだよ」 桐乃「えーっ、ちゃんと集中しなさいよ」 京介「誰のせいだと思ってんだよ……」 桐乃「それっていわゆる、……勃たないってコト?」 京介「いや、勃ってはいるけど、刺激が足りなくてイケないっていうか」 桐乃「……」 京介「……」 桐乃「じゃ、じゃあ……分かった。仕方ないから手伝う……」 京介「」 桐乃「それじゃ、あんたは横になっててよ」 京介「あ、ああ……(こいつマジ?)」 桐乃「(うわぁ、近くで見ると大きい……それに変な形……)」 桐乃「(こんなのが付いてて、歩くとき邪魔にならないのかな……)」 桐乃「(えっと、確かこうやって握って……上下に動かすのよね)」ニギッ 京介「うあっ!」 桐乃「あっ、痛かった?」 京介「いや、ちょっとビックリしただけ……」 桐乃「じゃあ、動かすよ?」 桐乃「(これでいいんだっけ?)」シュッシュ 京介「……」 桐乃「(皮がめくれたり戻ったり……これって仮性包茎ってやつ?)」シュッシュ 桐乃「(聞いたら怒るかな?……やめとこ)」 桐乃「……」シュッシュ 京介「……」 桐乃「……」シュッシュ 京介「……」 桐乃「これ、ちゃんと気持ちいい?」シュッシュ 京介「あ、ああ、……いい感じだ」 桐乃「そう…… じゃあなんか反応してよ。わかんないじゃん」シュッシュ 京介「そう言われてもよ……」 桐乃「……」シュッシュ 京介「……」 桐乃「……」シュッシュ 京介「……あはぁ」 桐乃「ぶふっ!!」 京介「なっ!?やらせといて笑うんじゃねえ!」 桐乃「フヒッwww……ごめんごめん。でもわざとらしいってばwww」シュッシュ 京介「だから男は普通声出さねえんだよ……」 桐乃「……」シュッシュ 京介「……」 桐乃「(硬くなってるけど、なかなか出ない……)」シュッシュ 京介「……」 桐乃「ど、どうかな? まだ出そうにない?」シュッシュ 京介「高まってきてはいるけど……」 桐乃「ふ、ふーん……」シュッシュ 京介「(実を言うと……さっき独りで出したばかりなんだよな……)」 桐乃「そういえばさ、こういうとき男の人って、エロ本とかをオカズ?にしてするんじゃないの?」シュッシュ 京介「ま、まぁな……」 桐乃「ベッドの下のメガネっ娘の本出そうか?」シュッシュ 京介「死ぬほど恥ずかしいので、そういう気遣いは勘弁してください」 桐乃「……ごめん」シュッシュ 桐乃「(さっきから気になってたけど、これって……タマ……の袋だよね?)」シュッシュ 桐乃「(こっちも刺激したら効果あるかな?)」グニュ 京介「!? 痛ってええええええ!!!」 桐乃「ひっ!?」 京介「うぐっ……お、お前……なんてことを……」 桐乃「えっ?えっ? そんなに痛かった?」 京介「そこは痛みに弱いからよ……ぐうぅ……」 桐乃「あ……そうなんだ、ごめんね……」 桐乃「(あっ、棒がちょっと柔らかくなっちゃった)」 桐乃「……」シュッシュ 京介「……」 桐乃「……」シュッシュ 京介「……」 桐乃「(イカない……)」シュッシュ 京介「(イケない……)」 桐乃「(ますます柔らかくなってきちゃった……)」シュッシュ 京介「あのさ、桐乃。どうも今日は無理みたいだから、……また今度でもいいか?」 桐乃「えーっ!?早く飲みたいのに!」 京介「(すごいこと言ってんなコイツ……)」 桐乃「……じゃ、じゃあさ、オカズ提供するから……お願いだから出してよね」 京介「えっ」 桐乃「上だけよ!上だけしか脱がないから!」ヌギヌギ 京介「うわっ!ちょ、ちょっ……お前!?」 桐乃「ほ、ほらっ、見なさいよ」 京介「(うおっ、桐乃の白い肌と……胸が……)」ムクッ 桐乃「(うわああ……恥ずかしいなんてもんじゃない!)」 京介「(さすがモデル……スタイルいいな……)」ムクムク 桐乃「ってアンタ、いきなりカチカチに戻ってるし!?」 京介「!!」 桐乃「……なんか身の危険を感じてきたわ」 京介「自分で脱いでおいてその台詞かよ!?」 桐乃「……」シュッシュ 京介「……」 桐乃「……」シュッシュ 京介「……なぁ、桐乃」 桐乃「なに?」シュッシュ 京介「……あのさ、ついでに下も見せてくれって言ったら怒る?」 桐乃「絶っっっっ対にダメ」シュッシュ 京介「……そうか、忘れてくれ」 桐乃「……(いまは見せられない状態になっちゃってるのよ!)」シュッシュシュシュ 桐乃「……」シュッシュ 京介「……あっ、そろそろ」 桐乃「えっ、えっ? 出そうってコト??」シュッシュ 京介「ああ、イキそう」 桐乃「よ、よしっ!イッちゃえ!」シュッシュシュッシュシュ 京介「あああ……もう……イクっ!」 桐乃「えいっ(ぱくりっ)」 京介「!?」 桐乃「(さぁ、来なさい!)」 京介「うっ……!!」ビュビュッ 桐乃「……」 桐乃「(ごくん)」 桐乃「苦ぁっっ!!」 京介「(まさか口で受け止めるとは……)」 京介「はぁ……はぁ……」 桐乃「ふうっ、苦労した割にあんまり出ないのね。 これで効果あるのかなぁ……」 京介「(まぁ、2回目だったからな)」 桐乃「あっ、周りにまだついてるじゃん」カプッ 京介「お、お前、ちょっと待て……!」 桐乃「(レロレロ)」 京介「そこはっ!先の部分はいまダメだって!うああっ!!」 桐乃「(ちゅぱ、ちゅぱ)」 京介「イッたばかりで敏感なんだよ!おい、聞けって!あはぁ!!」ビクッ 桐乃「(ちゅーっ!)」 京介「うあっ!!はあっ!!」ビクッ ビクッ 桐乃「(ちょっと楽しいカモ)」 京介「はぁ、はぁ……やっと終わったか……」 桐乃「まぁ、とりあえず礼を言っておくわ。サンキューね、兄貴」 京介「散々な目にあったぜ……」 桐乃「はぁ?何よその言い草。いい思いしたくせに」 京介「(それは否定できない……)」 桐乃「まぁいいわ。明日はもっと手短にお願いね」 京介「って、明日もかよ!?」 桐乃「あったりまえじゃん。こういうのは日々摂取しないと意味ないって」 京介「俺の身がもたねえぞ……」 桐乃「あ、ちなみに明日はあやせと加奈子も来るから。二人とも男兄弟いなくて困っててさ~」 京介「」 END